あの頃へ

先日、幼馴染みが挙式をあげました。

我々は昭和50-51年世代なので、それはそれはまあまあな大人の挙式に。会場は帝国ホテルで、ご存知ホテルオークラ、ニューオータニと並ぶホテル御三家。言わずもがな設計は、かのフランク・ロイド・ライトによるもので、伝統と革新が同居した歴史深い建造物です。先日観た映画『ラ・ラ・ランド』の劇中で、ジョン・レジェンドのセリフに、「歴史は革新から生まれる」(記憶が曖昧で失礼)があって、それを思い出しました。

少し早めに現地へ出向いて、日比谷公園でも散歩してそろそろ咲き始めの頃の桜でも鑑賞しようかと思いきや、天候はあいにくの雨。会場まで直接出かけました。

地元の友人など懐かしい顔ぶれもちらほら。照れくさい昔話に花を咲かせながらも、スピーチの内容を考えていたので、話はちょっと上の空。本番ギリギリまで、スピーチのネタを探していました。頭の中は昔と今、そして未来を行ったり来たり。

新郎は、小学校2年生の時に転校してきました。確かその日は私たちの世代にとって経験したことのない大雪が東京に降った日。同級生たちは、見たことのない大雪に大はしゃぎ。子供ながらも、汚れのない純白な新雪の美しさを初めて知りました。

あれから約33年。今でもずっと親友でいます。U氏結婚おめでとう! 末長くお幸せに。

 

この日スピーチを任されたので、なんとなく私流のお話し方のお話を。自己流で身につけたスピーチのテクニックです。

 

1)起承転結は基本

起=自己紹介。新郎との関係性。

承=新郎とのエピソード。苦労話や笑い話。

転=現在に至るまで、どれほど新郎が大事な存在か。

※私の場合は、ここで結論を持ってきます。

結=できれば芸事。私の場合は歌か詩の朗読など。

 

2)話し方に緩急をつける

ジョークは早口気味で小さな声で。あえて自分で笑ったり、親族をいじったりすると会場が一層和みます。逆に感動話はゆっくりゆったりと、滑舌良く。

 

3)一部のお客さんを大事に

お客さんの中には、いい反応の方が数名います。その方たちを数名ピックアップしてその方たちに向けて話すと会場に一体感が生まれます。その方たちをいじったりできたら上級者です。

 

4)鉄板の出し物を

歌や楽器演奏などが定番ですが、レベルの高い技術力とセンスが必要です。もし自信がないならトライしない方がベター。

 

閑話休題。大正生まれの詩人・吉野弘さんの『祝婚歌』という作品があります。これは、吉野さんが出席できなかった実の姪御さんの挙式の時に贈った詩。内容も素晴らしいのですが、実はこの作品は他にも素晴らしい話が。吉野さんご自身が、「この作品は、作者不明の民謡みたいなものとして、皆さんに喜んでもらえたらいい」というお考えがあり「だから、著作権使用料はいらない」。そんなエピソードが有名です。なので、ネットでもあちこちで閲覧可能なので機会があれば是非。

式のあと、私たちは地元の友人とともに、ホテル近所の居酒屋へ移動し、しばらくの間、式の余韻に浸っていました。子供の頃と比べた見た目の変化などをお互いからかったり、懐かしい友人へいきなり電話したり、いい時間は経つのが早い。少し飲みすぎた私は睡魔に勝てず、会話の途中でうとうと。新郎新婦も合流してみんなが酔い始めた頃、私はすっかり眠りの中に。この日の酔っ払いのうたた寝は、あの頃に帰った気持ちで。